VOICEお客様の声

二人で支えあいながら

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奥様を怪我から守るために考えたリフォームは、お互いが前向きに暮らせる、ゆったりした空間でした。

青柳さんご夫婦は、ご主人の定年をきっかけにリフォームをされました。以前から奥様の千代子さんは難病を患っており、細かく仕切られた部屋や廊下から畳へ上がる段差などで、転んでしまうこともあったそうです。常に奥様を気遣っていたご主人も、つまづきやすい場所を減らし、介護しやすく快適に過ごせる家で暮らしたいと考えました。


 まず訪れたのは、とちぎ福祉プラザです。新築も考えましたが、建て替えている間、別の場所で暮らすことには大きな不安がありました。そこで、福祉の専門家からドクターリフォームを紹介され、住みながら施工でき、思い出も残せるリフォームを選んだのです。


 打ち合わせでは、ご夫婦の要望と合わせて、奥様の病状も詳しく伝えました。そこに住む人に本当に合ったリフォームを行うためには、リフォームを欲する人がどんな人なのかを詳細に伝えることが重要な鍵となります。そこからリフォームのプロによる、思いがけない提案が生まれることもあります。


 奥様の体に合っていない施工前の家は、トイレに立つだけでも一苦労でした。畳から立ち上がり、茶の間から廊下へ出て、直角に曲がった廊下の先まで歩いていかなければなりません。それぞれに段差があり、奥様にとってはとても危険な動線でした。さらに、夜ともなれば不自由な体で電気も探さなければならず、ご主人の心配は増すばかりでした。


 そんな心配を払拭するために、茶の間からの廊下をなくし、細かく仕切られた空間を解放して、一つの空間にまとめました。万が一車椅子になった時も楽に暮らせるようにフローリングに変え、段差も取り除いてあります。そして、トイレは玄関のそばまでいかなくてもすむようにリビングの奥に増築し、いつでも安心して使えるようセンサーで照明がつくようになっています。


 また、青柳さんのお宅のスイッチは、全て床上六〇センチほどの所にあります。ここならば、手を上げずに操作ができ、車椅子でも目の高さにスイッチがくるので、一石二鳥の配置場所なのです。


 さらに、部屋の凹凸をなくすため収納も取り付けました。タンスやチェストを置かずにすむので、ぶつかる心配もありません。シンプルな空間は広々と見えるだけでなく、安全性も備えていました。


 そして、台所のリフォームには、奥様からこんな思いが伝えられました。


「今は主人が台所に立つことが多くなりましたが、少しでも使いやすくなれば、私も主人に食事を作ってあげられると思うんです」


 そんな奥様の希望を叶えようと、広々としたキッチンには多くの工夫が凝らしてあります。まず、車椅子での生活を想定してコの字型になっています。健康な人が一歩移動して食材を手に取る作業も、真横に移動できない車椅子では重労働。コの字型ならば、手首で椅子の向きを変えるだけで、その動きもかな


います。また、低い位置に台を設定し、椅子に座った足がぶつからないように下はくぼませてせてあります。さらに、ガスの危険性を考えて、IHクッキングヒーターを採用しています。


 奥様のご主人に対するあたたかな思いの詰まったキッチンで、素敵なランチのプレゼントがありました。宇都宮市のフレンチレストラン「パリ・イシ」のオーナーシェフ、吉田忍氏が、リフォームの完成祝いと今後のご夫婦へエールを込めて、プロの腕を振るったのです。キッチンを使ったシェフの感想は、


「激しく動くと家の台所は上から物が落ちてくるけど、ここはシンプルで使いやすい。鍋を使っていても向きを変えればカウンターがあるし、物を置く場所もシンクの場所も、動きに無駄が出ない工夫がされていますね」


 その言葉からも、介護を盛り込んだリフォームは、健康な人にとっても使いやすい機能を備えた家になることがわかります。住む人の身体的な特徴やライフスタイルに合わせた設計を盛り込むことが、その人に一番合ったリフォーム。それは、介護を取り入れたリフォームであっても、特別なことではありません。


 リォームをすることで、一人でできることが増えていく。それは、介護を要する人にとってリハビリにも繋がり、自信と前向きな力を与えてくれます。吉田シェフの料理を囲んだ笑顔の食卓には、一つの変化が様々なプラスの変化を引き出していく、リフォームの効果があらわれているようでした。