お互いのこだわりを尊重しながら、一つの家としてまとまりある空間を実現させました。
壬生町にお住まいの安川さんご一家は、息子さんの結婚を機に、同居されることを決意されました。新しく加わる家族とともに、心機一転新たな生活を始めようとしたのですが、それまでの間取りでは、四人がともに暮らすのに部屋も設備も不十分。そこで、立替とリフォームを検討されました。
結果としてリフォームを選ばれたのは、こだわりの場所をゼロからもう一度つくるより、気に入った場所をいかしながら、問題点を改善していった方が、理想の住まいに近づけると考えたからです。
安川さんご家族から出された要望は、人数が増えても快適に暮らせる住まいであることはもちろん、玄関以外は全て別々にすること、そして、思い出の品を飾れる場所をたくさん確保することでした。さらに、この機会に三匹のネコの暮らしをより快適にしたいという強い希望も出されました。
リフォームは、そこに住まう人の希望で出来上がりが左右されます。要望が具体的であるほど、理想の住まいへより近づけるのは言うまでもありません。ご一家は、担当者のプランを元に、それぞれのこだわりを、家族内で何度も話し合っていたのです。
ドクターリフォームと安川さんご家族とのおつきあいは、以前に玄関や勝手口のリフォームをしたことで始まっていました。家族の理想を形にするため、丹念に話を聞く姿勢をよく知っていたことや、定期的に届く「ばななレター」を読んでいたことで、大規模なリフォームでも迷わず決まったそうです。
そして実現した二世帯住宅。それぞれの夫婦の個性をいかすための、ユニークな発想が目を引きました。一階は安川さんご夫婦のこだわりで落ち着いた色ですが、二階は若夫婦らしい明るい色に統一され、階段を境に色が違うのです。
「初めは違和感があるのではと心配していましたが、出来上がってみると雰囲気が違い、面白いと思っています」とは、笑顔のご主人。
玄関以外は別という間取りですが、家族の繋がりを保てる工夫が随所に凝らされています。例えば、家族みんなが大切にしておきたい思い出の品は、一階リビングの壁をくり抜いて飾れるようにしてあります。部屋の中だけでなく、若夫婦が廊下を歩くときも自然に目に入る設計で、独立型の二世帯でも孤立しない、温もりを感じられる設計です。
それ以外の収納はというと、対面式キッチンのカウンターテーブルの下を両面収納にしたり、作り付けのキャビネット、ウォークインクローゼットなど、飾りたいもの以外は外に出さず収納しておける場所を豊富に用意したりと、見せたいものが一層引き立つように配慮されています。おかげで、ネコが散らかす心配もありません。
以前は全室和室でしたが、今回、全てを洋室にリフォームしました。ライフスタイルを変えたきっかけはと訊ねると、「歳を重ねたときも、動作が楽にできるようにということと、和室だとネコがツメ研ぎをして困っていたんです」とご夫婦は声を揃えて語ります。
老後の快適さとともに、ペットとの暮らしを考えてのリフォーム。そのため、フローリングの床は、ツメでも傷が付きにくいものを使いました。また、ドアの下にちいさなネコ用の扉をつけ、出入りを気にすることなく暮らせるよう配慮されています。部屋を閉め切っておけることで、暖房効率も上がります。
さらに、騒音対策もされています。道路に面した窓は平面な窓ではなく、三角に飛び出した小さな出窓。見た目にも可愛らしく、音の出入り口になる場所をさりげなく押さえました。一階二回ともにそうしたことで、外観もまとまりあるものになりました。開口部を減らしても暗い印象にならないよう、仕切りを透過性のあるアクリル板にし、空気が滞らないようにと、二十四時間換気システムも取り入れられています。
リフォームから始まる新生活。二つの世代の歴史が刻まれていく喜びと期待感は、ご夫婦の温かな笑顔に象徴されているようでした。