本当に必要な家の広さとは?
家を建てたりリノベーションを検討するとき、最初に「3LDKがいいかな?」「やっぱり4LDKが安心かな?」と“〇LDK”という表記から考え始める方は多いと思います。ですが、実はこの“LDKの数”にとらわれる考え方は、いまや時代に合わなくなりつつあります。
暮らしの形は家族の数だけあり、必ずしも「部屋数=暮らしやすさ」ではありません。むしろ“無駄な部屋”が増えることで管理や維持に負担がかかることも少なくないのです。
使われない子供部屋の現実
たとえば子育て世代によくあるのが、「将来のために子供部屋を2つ作ろう」と計画するケースです。ですが実際には――
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小学生のうちは、勉強も遊びもほとんどリビング。
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中高生になっても、家族の気配が感じられるダイニングで勉強する子は多い。
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結果、子供部屋は物置になったり、わずかな就寝スペースとしてしか使われなかったりする。
さらに、子供が独立したあとは空き部屋に。せっかく建築費をかけて作った部屋が、長い年月の中でほとんど活用されないという現実があるのです。
これからは“つながる間取り”が主流
近年は「家族が自然と顔を合わせられる空間を重視する」間取りが注目されています。
たとえば――
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リビングを広めに確保し、必要な時だけ可動式の間仕切りで仕切る。
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書斎や子供の学習スペースは“半個室”としてリビングに隣接させる。
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寝る場所と過ごす場所をはっきり分ける。
こうした工夫によって、部屋を細かく仕切らなくても家族のプライバシーとつながりの両方を守ることができます。固定的に「3LDKだから子供部屋2つ」と考えるのではなく、「暮らしに合わせて柔軟に変化できる空間」がこれからの住まいには求められているのです。
ミニマムな間取りの坪数目安
では「実際にどれくらいの広さがあれば十分なのか?」という疑問にお答えしましょう。
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夫婦2人暮らし:18~22坪程度
コンパクトながら、リビング+寝室+水まわりで十分快適。掃除もラクで、老後も無理なく暮らせます。 -
夫婦+子供1人:22~25坪程度
個室は最小限にしつつ、リビングを中心に設計すれば、遊びや学習、来客対応まで可能。 -
夫婦+子供2人(4人家族):25~28坪程度
リビングに家族が集まりやすい工夫を取り入れれば、30坪以下でも不便を感じにくい住まいになります。
数字だけ見ると「狭い」と思われるかもしれません。ですが、間取りや天井の高さ、窓の配置次第で、体感できる広さは大きく変わります。むしろ必要以上に大きい家は、掃除・冷暖房・メンテナンスに余計なコストがかかり、負担を増やしてしまうのです。
海外のミニマム住宅に学ぶ
世界に目を向けてみると、「必要十分な広さで快適に暮らす」工夫がたくさん見つかります。
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北欧の住宅
30坪前後の家が主流。大きな窓から光を取り入れ、木材や白を基調にした内装で開放感を演出。限られた面積でも豊かな時間を過ごせる設計が特徴です。 -
アメリカのタイニーハウス
10~15坪程度という超コンパクトな住まい。可動家具やロフトを活用し、驚くほど多機能な空間を実現しています。「狭いけれど心地よい」という新しい価値観が広がっています。 -
ヨーロッパの都市部の集合住宅
日本でいう20坪未満の広さに家族3人が住む例も。共用スペースを上手に利用し、必要な空間だけを手元に残す暮らしが一般的です。
これらの事例は、「大きければ快適」という考えを覆してくれます。
新築かリノベーションか迷っている方へ
「やっぱり新築の方が安心かな?」「でも中古を買ってリノベすればコストを抑えられるし…」と、迷う方は非常に多いです。
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新築は自由度が高く、すべてが新しい安心感がある。
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リノベーションは、既存の建物を活かすことでコストを抑えつつ、自分らしいデザインや暮らし方を実現できる。
どちらが正解ということはなく、ご家族の価値観やライフスタイルによって答えは変わります。
ただ一つ言えるのは、図面や数字だけで判断するのは危険だということです。実際に建てられた家を見て、体感してみることで初めて「これくらいの広さで十分」「自分たちの暮らし方にはリノベの方が合っている」と納得できるのです。
OPENHOUSEや施工事例で確認を
Banana works LABO では、毎月 OPENHOUSE を開催し、実際のリノベーション空間を体感いただけます。
また、これまでの 施工事例 もご覧いただけるので、新築とリノベーションの違いを具体的にイメージすることができます。
「新築にするか、リノベーションにするか迷っている」
そんな方こそ、ぜひ一度リアルな住まいを見てください。図面や数値ではわからない、暮らしの実感がそこにあります。