100年前明治時代にこの地に
玄関を入ると格調ある老舗旅館のような空間が広がる。どっしりとした太い柱。高く吹き抜けた天井には、むきだしの太い梁。なんとも重厚な風格に、思わずため息がでるほど。伝統的な良さを活かし、現代生活の快適さを融合した、趣のある現代和風の横井邸は、まさに、リフォームの醍醐味が凝縮されたような家だ。
約100年前明治時代にこの地に移り住んだ横井家は、母屋だけでも100坪あり、敷地内には大きな蔵を何棟も持つ豪農だった。先代からたくさんの思い出を受け継いできたこの家も、何度かは手を入れてはきたが、四代目の直久さんの世代になると、生活様式の変化に伴い使い勝手が悪く、使っていない部屋がいくつも出てきた。その一方で、子ども達の個室がない。さらに、建具の建てつけも悪くなってきた。
そこで、数年前からなんとかしようと考えていたが、なかなかタイミングが合わず、やっと昨年秋に決断。新築かリフォームか迷っていた時「ずっと、この家の雰囲気が好きだった」という長男のひと言で、間取りや骨組みを活かした全面リフォームを選択。
壁や床などがはがされていく度に、かつては土間だったところなどが現れ、昔の暮らしがご主人の脳裏にとても懐かしくよみがえったそうだ。この家に生まれ、兄弟と共に成長し、そして、今は妻と2男1女の子ども達と共に幸せに暮らしている。そんな、何世代にも渡る絆を、ちゃんと未来につなげることができる、古い物と新しい物が融合した素敵な家が完成した。