「この家は、お仏壇とおばあちゃんを中心にしてきたんですよ」とにこやかに語るIさん。30年前、日光・那須連山を望めるこの地に新築、広い家の真ん中に立派な仏間を配置し、3世代でご先祖さまを敬って暮らしてきた。成長し家を離れていた息子さん家族が戻ってくるので、2階に水回りを新設して二世帯住居にリフォームすることにした。
仏間や玄関ホールの格天井など新築時のこだわりを残すこと。それ以外は、家族一人ひとりの好みを反映。1階はご両親のスペースで、北側の勝手口の新設、床の間の移動、寒さ対策の窓の断熱工事以外は、大きな間取り変更はなかったが、壁紙や襖、畳などをモダンな和テイストにしただけで雰囲気が刷新。
2階は、息子さんの好みのインテリアを実現させるためのさまざまなディテールが際立っている。むき出しの木の質感に工場を彷彿させる鉄やスチールのインテリア。未完成かと思われるほどのシンプルさ。各所に隠された遊び心のある仕掛け。「リフォームが終わって完成ではなく、ここからがスタート。自分でいじれる空間を残し、経年変化を楽しみたい」というのが意向。「こんな要望を叶えてくれるところを探したけど、サンセイさんしかなかった」と言い、その仕上がりに大満足な様子。
1、2階併せて67坪近いリフォームは、ある意味新築するほうが経済的だったかもしれない。でも、大切に守ってきたお仏壇と家族の思い出を残したいためにリフォームを選択。完成を待たずに逝ってしまった93歳のお祖母様も、きっと喜んでいることだろう。
幸せ笑顔のIさんご夫婦と、ドクターリフォームサンセイ代表の一級建築士山口弘人。
共用の玄関ホールのマントルピースと大谷染石、吹き抜けを仕切るスノコの廊下などは息子さんならではのアイデア。格天井はしっかり残し、階段下を収納にした。若奥様絶賛の2階キッチンは家事室もあり、子どもたちとクッキングができると嬉しそうだった。