心地よく暮らしたいというリフォームへの熱意が成功の秘訣。大きな農家が快適空間に早変わり。
リフォームを成功させるコツは?と問われれば、自分たちが住みたい家を楽しみながらイメージする、すぐ行動におこす、そして、いい業者に巡り会うこと、の三点をあげたいのですが、猪瀬さんご一家の場合は、どれも二重マルでクリアしています。
栃木県氏家町で農業を営むかたわら、土木建築業の会社も経営するという多忙な久夫さんと奥様のカツ子さん。実は、思い立ったら吉日を絵に描いたような行動力をお持ちです。朝の人気リフォーム番組を見た直後、お二人は何かの啓示を受けたかのようにクルマを走らせ、神奈川県平塚市にあるショールームへ足を運んだのでした。後日、担当の方が家までリフォームの図面を携えてやってきましたが、どれも納得のいくものではありませんでした。というのも、カツ子さんはご自分でパソコンを操作し、二十六通りもの(!)リフォーム案を考えていたのですが、その図面はご自分で作成したものとあまり変わり映えがしなかったそうです。
ある日、カツ子さんはインターネットを検索して、ドクター・リフォームの「仕事展」というイベントのことを知り、早速ご主人を誘って出かけることに。幸い、会場は宇都宮でしたので、気楽な気持ちで出かけました。会場に展示されていた施工例を見てビックリ。平塚のショールームで印象に残っていた施工物件のリフォームを手がけたのは、実はドクター・リフォームだったことを知るのです。
「はじめは新築も考えたのですが、この通り大きな家ですし、コスト的なことから約半分の面積をリフォームすることにしたんです。それから、両親が建てた家を壊すのもしのびないなという気持ちもありました」と久夫さん。リフォームをした面積は、なんと三十五坪。普通の家の建坪面積に匹敵する広さです。
さて、「仕事展」での応対が心地よかったこともあって、早速ドクター・リフォームの提案を受けることにしました。わくわくしながら待ち受けていた猪瀬さんの元にデザイン案が届けられました。久夫さんもカツ子さん
も、その図面を見るなり、とても驚きました。そこには自分たちが予想もしなかったアイデアがつまっていたのです。
「それまでは玄関を入ると広い土間があり、建物の後ろ側にある勝手口の土間との間をコンクリートの通路で結ぶという典型的な農家の造りでしたが、どうしても土足での行き来になるので掃除をすると砂埃が舞うんです。ドクター・リフォームさんの案は、およそ農家の造りからはかけ離れたものでした。玄関の位置を少しずらし、前にせり出して変化をもたせたのをはじめ、ホールに入ると、飾り障子をうまく使った生け花の空間、そして扉を開けて部屋に入ると、いきなりダイニング・キッチンですから(笑)。その隣にリビングと小上がりの和室と続きます。ドクター・リフォームさんの話しによれば、家の一番いいところに家族みんなが集まれる空間を作った方がいいということでしたが、なるほど今は南側に面したこの辺り一帯に家族全員が集っていますね」
久夫さんとカツ子さんはそう語ってくれました。家が広いため、それまで各々が自分の部屋で過ごしていた時間が多かったようですが、まんまとドクター・リフォームのマジックにはまったということです。
もともとお勝手の土間だった場所は、現在、久夫さんとカツ子さんの主寝室。カツ子さんのご要望に沿ってバルコニーが取り付けられ、久夫さんの書斎も確保しました。玄関の位置を少しずらしていますが、方位に関するおじいちゃんの懸念も見事にクリアしました。
それから、猪瀬邸のリフォームで感心したことは、サッシをはさんでダイニングの前に取り付けられたウッドデッキの活用です。前述のように、農家において土間という空間は近所の人とのコミュニケーションを円滑にさ
せる役割をもっていましたが、土間がなくなっても、ウッドデッキがきちんとその代用を果たしているのです。勝手知ったる近所の人は、いちいち玄関を開けず、ウッドデッキの方に廻って声をかけてくれるとのこと。家族と近所の人間関係を大切にした見事なリフォームでした。