INPUT TRAVELインプットトラベルブログ

Stockholm・Copenhagen

ストックホルム・コペンハーゲン旅行記

スカンジナビア諸国の中でも、デザイン的に優れた建築が多く旅行者にも人気が高い国がデンマークとスゥエーデン。2006年コペンハーゲンとストックホルムの2都市を歩いてきました。

input*travel in Scandinavia。

写真と併せてご覧ください。

カストロップ空港は、世界一美しい空港と言われているコペンハーゲン空の玄関口で、空港には珍しく床材は木が使われて、天井のトップライト優しく降りそそぐ自然光は北欧の森のようだった。



ニューハウンという名前の運河沿いの街は、色とりどりの建物と運河を行き交う船がとても美しい光景を見せてくれていた。川沿いにはBarやアンティークショップなどが並び、風を感じながらの散歩にちょうど良いお勧めのエリアだ。



ドラウアーは、黄色のレンガ造りの低い家が立ち並ぶ映画のセットのようなきれいな街。このエリアは市の条例で建物のスタイル、色調、素材などが決められているとのこと。建築の仕事をしていると感じることだが、住んでいる人たちのほとんどが建築についてのイメージなど持っていない。

親が建てた家に住み続けているだけだったり、場所が便利だからだったり、Designやimageをしっかり持ってその家に住んでいる場合は本当に稀である。だとすればこそ、このように条例を使い個性的な街並みを残すことをしなければ、どこの街も統一感は失われて行くのだろう。



途中に寄った浜辺で撮影した写真がこの旅の一番のお気に入り写真となった。タイトルをつけるとすれば『あこがれ』。2人の老サーファーを、家族から離れ近くまで歩いて行った小さな男の子がずっと見つめていた。人生を楽しんでいる姿が子供には素直にわかるのだろう。



ストックホルムにあるアスプルンドが設計した森の火葬場は北欧人にとって精神的な故郷といえる「森」へ還って行く人間の運命を、直感的に悟らせるような建築表現を実現したと高い評価を受け世界遺産にも登録されている。草原に立つ大きな十字架も自然に溶け込み、全体がとても優しい公園のようだった。きっと故人を悼みにここに来る人々にも、死を穏やかなものだと感じさせている場所なのだろうということを感じた。



シドニーのオペラハウスで有名なヨーン・ウッツォン建築のバウスヴェア教会は、曲線天井から降りそそぐ柔らかな光と、白で統一された洗練された内観デザインが特徴的だった。アクセントカラーに赤い敷物を使う点などの通常の教会とはかけ離れた発想が記憶に残った。決まったイメージがある建築物においても、

極端な発想や、他との絶対的な違いを表現することも手法としては必要なのだと感じた。



夏の北欧は日が沈むのが遅く、ずっと外出していても安全そうだったので、レンタル自転車を借りて街中を走ってみた。途中で見かける道路の標識や、お店の看板などにもわかりやすいデザインが施され、色や形を意識することの大切さを感じた。





この旅は、ある団体が募集したいわゆるツアー旅行に誘われ参加した。航空券の手配からホテルの予約、そして行き先やそこでの見学時間などをコーディネーターが細かく組み込んでくれる。ただバスに乗り移動するだけで何も心配がいらずありがたいのだが、全くと言っていいほど地理関係は頭に残っていないし、旅の思い出として最も記憶に残りやすいトラブルがない。
2006年の、この旅行を最後にツアー旅行に参加することを止めた。老人になって地図も読めなくなり、体調も心配な状態になり、それでも旅がしたいと思う時が来たら、その時はのんびりツアーに参加するのも悪くないのかもしれないな。

Hiroto Yamaguchi