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2020-05-07

日経ホームビルダーウェブ版 日経クロステック

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新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、家づくりの様々な現場に影を落としている。例えば顧客とのコミュニケーションでも、不要不急の外出自粛が全国規模で求められている現状で、対面での打ち合わせを設定しにくい実態がある。特に、新規の集客や問い合わせ客のフォローなどに影響が及びやすい。

 「今年4月に入ってから、新規の引き合いは通常の3割減。OB顧客と話していても『感染拡大の影響が一段落するまでは動けない』と消極的になっているのが分かる」。こう話すのは、宇都宮市を拠点に住宅リフォーム専業で事業を展開するドクターリフォームサンセイの山口弘人社長だ。リフォームの場合、顧客との打ち合わせに加えて既存住宅の調査や、場合によっては顧客が住みながらの工事など、顧客との接触機会が多い。その点では、新築以上に影響がシビアな面もある。


リフォームでは顧客との打ち合わせに加えて、既存住宅の調査や、場合によっては顧客が住みながらの工事など、顧客との接触機会が多い。

 「顧客との接点を絶やさず、リフォーム需要を地道に刺激する」。そうした考えから同社は、既に独自の取り組みを展開し始めている。この4月中旬から発信し始めたリフォーム提案「玄関+SOKU手洗い」は、そうした取り組みの1つだ。

既存の玄関に手洗いスペースを新設するリフォーム提案のチラシ。リフォーム費用の目安は28万円から

 この提案の内容は、既存の玄関に手洗いスペースを設けるプラン。「帰宅したら、玄関で手洗いとうがいができる」とアピールしている。リフォーム費用の目安は28万円からと設定した。「以前から、育児世代の顧客を中心に『子どもが帰宅したときにすぐ手を洗えるようにしたい』という要望を受けることがあり、実際に採用してもらったケースもあった」(山口社長)。自ら幼い子どもの父親である山口社長は、感染症予防で手洗いやうがいの励行に関するニーズが高いことを見込んで、独自の提案にまとめたという。

 自社のホームページやSNS(交流サイト)にアップしたところ、4月下旬までに多くの問い合わせが寄せられた。「すぐに具体的な受注につながらなくてもいい。『既存の住まいに少し手を加えればより満足度の高い暮らしができる』ということを改めて伝え、顧客のリフォーム意欲を刺激し続けることが狙いだ」と山口社長は説明する。


 また同社では同じく4月下旬から、「ポケットの家」と名付けた新サービスもスタート。休校中で終日在宅する子どもがいる家庭に向けた無料サービスだ。子どもに自宅の間取りを自分で調べて紙に描いてもらったうえで、家族に自らヒアリングして改善要望などをまとめてもらう。それらを同社に送ると、設計担当者が改善後の住まいをパースに描いて返送する。在宅中の子どもたちに、自分でリフォームプランを考えてもらう意図の企画で、「“夢”を思い描くことで、家の中で過ごす時間を少しでも明るくしてほしい」という山口社長の願いから始めた。
 「外出の自粛が続くなか、家族一緒に家の中で過ごす時間が増えている。家族のライフスタイルや住宅に求める価値観に変化が生じてくることも考えられ、今後のリフォームのニーズに現れてくるかもしれない」。地道な取り組みで顧客とつながり続けることは、山口社長にとって、次の商機を探るマーケティング戦略でもある。